ロッテホールディングス定時株主総会のご報告②
従業員持株会の理事長は今年も出席せず
2021.08.19

6月26日に開催されたロッテホールディングスの定時株主総会のご報告その2です。

 

以前にもこのブログの記事で指摘しましたが、ロッテホールディングスでは、第2位の大株主であり、約27%もの株式を保有している従業員持株会の完全に自由な議決権行使が許されていません。

 

ロッテホールディングスにおいて従業員持株会が発足したのは古く、前身のロッテ時代の約40年ほど前まで遡ります。

発足した経緯は、従業員の方々の会社に対する帰属意識と経営への参画意識を高めると同時に、配当によって従業員の資産形成に多少なりとも資すること(年間配当はずっと1株当たり6円なので資産形成と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが)を目的に、ロッテ創業者である重光武雄がもともと自身で保有していた株を従業員持株会に移したというものでした。

 

そうして発足した従業員持株会の議決権行使は、自らが定める規約に基づき、従業員持株会の理事長が行使することになっています。

 

「従業員持株会」というと、会社に所属したり、会社の指揮下にあるかのような印象を受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、従業員持株会はあくまで会社とは独立した組織です。会社の指揮命令によらず、会社の繁栄と従業員持株会会員の利益の最大化を図ることが持株会理事会及び理事長の責務ですが、残念ながら2015年に経営権問題が発生して以降、今回の定時株主総会も含めて、従業員持株会の理事長が株主総会に出席してその意思表示たる議決権行使を行うということはありませんでした。

 

これはもちろん、理事長だけの責任と言うことはできません。推測の範疇を超えませんが、現経営陣側としては、株主総会における不確実性を完全に排除するためには、従業員持株会の理事長に株主総会の場に参加されると困るのだと思います。そのためには、従業員持株会から事前に委任状を提出してもらい、株主総会当日に会場には一切出席しないということを徹底する必要があるのでしょう。

 

経営トップの有罪確定や惨憺たる業績悪化でも自浄作用を見せないロッテホールディングスのガバナンスが現在機能していないことは誰が見ても明らかと考えますが、従業員持株会を含む全ての株主が完全に自由な議決権行使ができるようになって初めてロッテの経営正常化の第一歩となることだと、株主総会に参加するたびに痛感しています。