ロッテのリストラ報道に思うこと
2021.03.09

非常に残念なことですが、韓国ではロッテグループで大規模な人員削減が行われていると連日のように報道されています。日韓を行き来していると、否が応でもこのようなロッテの経営状態に関するネガティブなニュースが耳に入ってきます。

희망퇴직의 그늘, 롯데에 무슨 일이…"가야 할 때가 언제인가를 분명히 알고 가는 이의 뒷모습은 얼마나 아름다운가." 롯데푸드에...https://view.asiae.co.kr/article/2021021806505345135

 

偶然目にしたこのニュースでも、韓国ロッテグループで大規模なリストラが行われていること、そして、希望退職に応じる申請者が少ないと社員の役職を廃止してでも応募させているといったことまで報道されています。

 

こうした報道を目にする度に、創業者重光武雄の経営哲学が思い起こされます。

重光武雄は、自分の過去の実績を人に自慢するということは全くと言っていいほどしない経営者でした。社員や家族にも過去のことを話すことはほとんどなく、重光武雄の口から熱心に語られるのは、将来の事業や展望に関する話ばかりでした。そんな重光武雄が周囲に話す唯一の自慢話が、「自分は社員をクビにしたことがない」ということでした。

 

重光武雄は、戦後まもなくロッテを創業した当時、混とんとした社会・経済環境の中で無軌道な経営の失敗のしわ寄せが社員に転嫁されている、その結果として、社員とその家族たちが路頭に迷う、そんなことが世の中で平然と行われていたのを実際に目の当たりにしていました。だからこそ、社員の雇用がいかに大切かということを身に染みて理解していました。こうした原体験があるからこそ、自分で興したロッテにおいて、「社員を大切にする」ということを経営哲学にまで昇華させて、創業以来70年以上リストラなどは一切行ってこなかったわけです。

 

これは、リストラなどしたら社員やそのご家族に対して申し訳ないという思いからということももちろんあります。その一方で、重光武雄は、社員を大切にするということが、社員のやる気と能力を最大限引き出す結果になるということも理解し、経営的な観点でも間違いなく肯定的な影響を与えるという確信があったからこそ、これを経営哲学の一つの柱としたのです。

 

しかし、報道にあるように、現在のロッテグループでは、こうした経営哲学とは真逆のことが行われてしまっているのは誰が見ても明らかです。社員が安心して、やる気と能力を発揮できる環境をつくることがいま改めて求められていると感じています。