実績乏しい3世のロッテ継承 株主の理解は得られるか
国籍・兵役問題と不振だったロッテヘルスケアの清算
2025.10.31

重光昭夫の息子である聡は、経営継承の基礎固めを急いでいるが、十分な実績を出していないため、継承実現までのハードルはなお高いとの見方が現地で報道されています。

 

記事によると、同氏が陣頭指揮を執り、韓国ロッテグループが成長軸の一つと謳っていたロッテヘルスケアは、健康管理プラットフォーム「CAZZLE(キャズル)」を展開するも技術盗用疑惑と業績不振が続き、設立3年の2024年12月に清算しました。

また、同じく同氏が担っていたロッテバイオロジクスは今年上半期の売上881億ウォン(日本円約94億円)、純損失365億ウォン(日本円約39億円)で、前年同期対比売上と営業利益が共に悪化しており、経営者としての存在感を示せていないと指摘しています。

 

更に、記事では、後継者としての国籍・兵役問題にも言及しています。

 

韓国では、よく報道でも出ているとおり、たとえトップアイドルのような有名人であって韓国人男性には免除されることなく兵役義務が課されています。財閥トップも然りで、サムスン会長の長男は米国籍を持っていたにも関わらずそれを放棄し、韓国の海軍士官学校に入学したとされています。

かたや、同じく韓国財閥である韓国ロッテグループの経営トップの息子が、兵役が免除される歳になってからしれっと韓国国籍を取得して財閥トップの地位を承継することがあれば、批判を免れることはできなさそうです。

 

ただでさえ、韓国ロッテグループの経営状況が非常に厳しい中、実績の伴わない高速昇進に加え、国籍・兵役問題など、ステークホルダーの理解を得られないことは容易に想像がつくはずです。

 

■サムスン会長の長男が入隊 米市民権放棄=海軍将校として服務へ

2025/9/15 聯合ニュース

サムスン会長の長男が入隊 米市民権放棄=海軍将校...【ソウル聯合ニュース】韓国・サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長の長男、ジホ氏が15日、兵役のた...https://jp.yna.co.kr/view/AJP20250915002700882?input=1345r

■「経営の前面に出たが…」ロッテ三世の継承

2025/10/21 デイリアン

https://www.dailian.co.kr/news/view/1561536/?sc=Naver

 

  • 重光聡(ロッテ持株未来成長室長(副社長)、ロッテバイオグローバル戦略室長)が経営継承の基盤作りを急ぐ一方、非常経営体制下で新事業の不振により強いリーダー像を示し切れていないとの評価。
  • 2020年に日本ロッテ入社後、2022年ロッテケミカル日本支社、2023年ロッテバイオロジクスとロッテ持株で要職を歴任し、定期人事で副社長へ“超高速”昇進。
  • 新成長軸の一つだったロッテヘルスケアは、健康管理プラットフォーム「CAZZLE(キャズル)」を展開するも技術盗用疑惑と業績不振が続き、設立3年で2024年12月に清算。
  • 国籍と兵役問題も障害物だ。1986年生まれの重光聡副社長は、日本国籍を保有している。ただ、彼が韓国国籍を取得しても兵役を履行する義務はない。国内兵役法によって国籍回復者は38歳から兵役義務が免除されるためだ。昨年3月末、満38歳になって兵役問題が解消されただけに、財界の一部では近いうちに重光聡副社長が韓国国籍取得に乗り出す可能性があるという主張が出ている。
  • 継承面では複雑な持株構造の中で本人のロッテ持株持分は0.03%と小さく、次世代リーダーとしての能力証明、とりわけバイオ事業の成否が鍵。