中国瀋陽プロジェクト失敗の再来 ベトナム都市開発撤退の余波
2025.10.08

今年8月末、韓国ロッテグループのトップ重光昭夫が非常に注力していたベトナム・ホーチミン市における都市開発事業の撤退が報道で明らかになりました。

 

この都市開発構想は、1997年に打ち出され、2017年にロッテと市人民委員会が契約に調印。2022年9月に起工式が行われたものの、ロッテ側が財政的に行き詰まり、建設が進まないまま、今年8月に契約解消を申し出たというものです。

 

また、9月の現地の報道によると、この契約解消の申し出に対して、ベトナム国会では「長年土地が利用されなかったのは浪費」だと問題視する動きがあり、企業の一方的な撤退で再び土地が何年間も利用されない状態が続くことがないように、土地使用権を返還する場合は代表者が責任を負う法整備を進めているとのことです。

 

過去には、重光昭夫は中国・瀋陽においても都市開発に取り組むものの、韓国でTHAAD配備用地提供を認めてしまい、瀋陽の都市開発の撤退だけでなく、ロッテマートやロッテ百貨店など中国事業を撤退し、多額の損失を出していると考えられます。

 

また、韓国の南東部に位置し、ロッテ創業者の出生地でもある蔚山駅前の再開発は、2017年にロッテ蔚山開発が事業施工者に指定されて以降、臨時駐車場を整備した以外はほぼ工事が進んでいません。

今年9月の関連記事によると、地元からは、事業が10年間も進展がないためロッテが事業から手を引くべきだという主張が出ており、蔚山市も事業が引き続き遅延すれば、ロッテを相手に事業放棄手続きを進める案を検討中だと報じられています。

10年間遅々として進まないKTX蔚山駅複合乗り換...10年間遅々として進まないKTX蔚山駅複合乗り換えセンター建設事業が座礁の危機に直面した。4日、蔚山...https://www.mk.co.kr/jp/society/11411472

 

何度、同じ失敗を繰り返すのでしょうか。

■ロッテ、ベトナムの夢は結局霧散···重光昭夫の試練 [CEO アップ&ダウン]

2025/8/28 17:21 SBSビズ
https://biz.sbs.co.kr/article/20000256062?division=NAVER

  • 重光昭夫(ロッテグループ会長)は中国事業撤退後、ホーチミン市トゥティエム地区の開発に注力していた。
  • 同地区で総事業費9億ドル(約1.2兆ウォン)規模の60階建て複合施設(商業施設・ホテル・アパート)建設を計画。
  • しかし、許認可の遅延でコストが想定の1.2兆ウォンから3.5兆ウォン超に膨張すると判断し、事業を中止。
  • 近時のロッテ各社の業績不振も影響し、収益性を担保できない大型投資の継続は困難とみられる。
  • 1996年の進出以降、百貨店・マート・ホテルなど19社を展開してきたロッテにとって、東南アジア戦略上痛手となる決定。